こんばんは。
「観察する」を大事に。
元特別支援学校教員、スタッフのはなです。
涙が溢れてしまったSちゃんの朝。
それでも、見つめるのは朝の会をしているみんなの方だった。
朝の会で、他の子たちの「お返事タイム」をし終えて、私は最後にSちゃんの名前を呼ぼうとしていた時だった。
Kくんが「Sがまだだよ。まだS呼んでないよ。」と言った。
Kくんの目はずっとSちゃんの方を向いていたんだ。
続いて、Yくんが言った。
「みんなで呼んでみようよ!」と。
ものすごく照れながらも、2回、Yくんが考えて言ったことだった。
さらに続く。
Yくんの発言を聞いたSくんが「せーの!」と自然に掛け声をかけた。
そして、全員で「Sちゃーん」と呼んだのだ。
みんなで何度も、「Sちゃーん」と呼ぶ声が、山に響き渡った。
何度か呼んだあと、S YくんやHくんもSちゃんの近くに言って心配の顔を覗かせていた。
この時のSちゃんから返事はなかったけれど、みんなの声は届いた?という質問に、
Sちゃんは「うん」と頷いていた。
無理に近づこうとせず、むやみに声をかけず。
みんながSちゃんを理解して、Sちゃんの今の気持ちを考えて関わろうとしていたことに驚いた。
全員で繋いだSちゃんへのリレーだった。
最初のKくんの発言からジーンとしてしまった私たちは、ずっと静かに見守っていただけ。
ただただ、この子たちの優しさや温かさに、胸を打たれてしまった時間。
本当にこの子たちはすごい。
子どもたちの力には敵わないなぁと思ったよ。
朝泣くことは滅多にないSちゃんが泣いているのを見て、みんな驚いたことだろう。
それでもSちゃんのために、周りの子たちがここまでの行動をしたのには理由がある。
それは、Sちゃんがいつもみんなに優しく接しているから。
Sちゃんが困った時に助けてくれるから。
今日は逆だった。
Sちゃんが困ったところに、みんなが助けてくれた日。
あいさつをしたあと、Sちゃんはすぐに自分で気持ちを切り替えた。
そしていつものように、困った子を見逃さず、すぐに動き出したのだ。
困っている子を助けるのもそうだし、
ダメなものはしっかり「ダメ」と、Sちゃんは自分の気持ちに常に正直だ。
そんな真っ直ぐな心の持ち主のSちゃんだから、みんなからの信頼も厚いのだろうなあ。
「もう今は泣かないよ。だってお姉さんになったから。」と後で言ったSちゃん。
その顔を見たら、もういつでも卒こまめできる、と確信した。
Sちゃんは3月で卒こまめ。4月から保育園に行くそうだ。
そしてママもお仕事に行くからね、とおうちでも話しているそうだ。
そんな不安を感じての今朝の涙だったのかもしれない。
春からの変化を少しずつ理解して感じている時期。心が揺らぐのは悪いことじゃない。
揺らいだ心とどう向き合っていくか。
新たな試練にみんなで向き合った今日は、Sちゃんにとって大きな一歩を踏んだ一日。
みんなが、春に向けて着実に一歩踏み出しているんだね。
今日も素敵な時間をありがとう。
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