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一歩

  • 執筆者の写真: はな
    はな
  • 2024年2月8日
  • 読了時間: 3分

こんばんは。


「観察する」を大事に。


元特別支援学校教員、スタッフのはなです。






涙が溢れてしまったSちゃんの朝。


それでも、見つめるのは朝の会をしているみんなの方だった。


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朝の会で、他の子たちの「お返事タイム」をし終えて、私は最後にSちゃんの名前を呼ぼうとしていた時だった。







Kくんが「Sがまだだよ。まだS呼んでないよ。」と言った。


Kくんの目はずっとSちゃんの方を向いていたんだ。


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続いて、Yくんが言った。


「みんなで呼んでみようよ!」と。


ものすごく照れながらも、2回、Yくんが考えて言ったことだった。


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さらに続く。


Yくんの発言を聞いたSくんが「せーの!」と自然に掛け声をかけた。


そして、全員で「Sちゃーん」と呼んだのだ。


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みんなで何度も、「Sちゃーん」と呼ぶ声が、山に響き渡った。



何度か呼んだあと、S YくんやHくんもSちゃんの近くに言って心配の顔を覗かせていた。


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この時のSちゃんから返事はなかったけれど、みんなの声は届いた?という質問に、


Sちゃんは「うん」と頷いていた。





無理に近づこうとせず、むやみに声をかけず。


みんながSちゃんを理解して、Sちゃんの今の気持ちを考えて関わろうとしていたことに驚いた。


全員で繋いだSちゃんへのリレーだった。






最初のKくんの発言からジーンとしてしまった私たちは、ずっと静かに見守っていただけ。


ただただ、この子たちの優しさや温かさに、胸を打たれてしまった時間。


本当にこの子たちはすごい。


子どもたちの力には敵わないなぁと思ったよ。


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朝泣くことは滅多にないSちゃんが泣いているのを見て、みんな驚いたことだろう。


それでもSちゃんのために、周りの子たちがここまでの行動をしたのには理由がある。



それは、Sちゃんがいつもみんなに優しく接しているから。


Sちゃんが困った時に助けてくれるから。




今日は逆だった。

Sちゃんが困ったところに、みんなが助けてくれた日。





あいさつをしたあと、Sちゃんはすぐに自分で気持ちを切り替えた。


そしていつものように、困った子を見逃さず、すぐに動き出したのだ。


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困っている子を助けるのもそうだし、


ダメなものはしっかり「ダメ」と、Sちゃんは自分の気持ちに常に正直だ。


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そんな真っ直ぐな心の持ち主のSちゃんだから、みんなからの信頼も厚いのだろうなあ。


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「もう今は泣かないよ。だってお姉さんになったから。」と後で言ったSちゃん。


その顔を見たら、もういつでも卒こまめできる、と確信した。





Sちゃんは3月で卒こまめ。4月から保育園に行くそうだ。


そしてママもお仕事に行くからね、とおうちでも話しているそうだ。


そんな不安を感じての今朝の涙だったのかもしれない。


春からの変化を少しずつ理解して感じている時期。心が揺らぐのは悪いことじゃない。



揺らいだ心とどう向き合っていくか。


新たな試練にみんなで向き合った今日は、Sちゃんにとって大きな一歩を踏んだ一日。



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みんなが、春に向けて着実に一歩踏み出しているんだね。




今日も素敵な時間をありがとう。


 
 
 

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