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やり切った

  • 執筆者の写真: はな
    はな
  • 2024年10月31日
  • 読了時間: 4分

こんばんは。


「観察する」を大事に。


元特別支援学校教員、スタッフのはなです。






ヘリコプターや飛行機が空を飛んでいると、子どもたちはよく「バイバーイ」と声をかけながら手を振っている。


今日もかなり大きな音を立ててヘリコプターが通り過ぎた。みんな釘付けだ。

「バイバーイ、バイバーイ、バイバーイ、バイバーイ・・・!!」


な、何回言うねん!笑


ヘリが見えなくなっても響いた声・・・


その正体はDくんだった。


Dくんは普段そんなに最後までヘリコプターを追いかけてバイバイなんて言わない。


このバイバイは誰に向けてのものだったのだろうか。


今日はDくんのこまめ最終日だ。


私もずんずんも、ヘリコプターに向けた「バイバイ」だけではなさそうに聞こえてならなかった。






活動中、Dくんの周りには常に人だかり。


場所を変えても、気づいたらどこかまとまっていて。


普段あまりやらない子が混ざっていたり、いつにもましてコミュニケーションが盛んだったり。


どれもこれもDくんの力なのではないかと思ってしまう。笑


それくらいにDくんの影響力は大きいことを知っているから。





今日常にDくんの隣をキープしていたのがSくんだ。


Dくんが先にジャンプしようとすれば「もー!一緒にやろうよー!」と怒る姿が愛らしいなあ。


Dくんのことが愛おしくてたまらない、といった感情が溢れ出ていたのを私たちは朝から感じていた。


だが、帰りの時間が近づくにつれてSくんの様子がおかしくなっていく。


「さよならあんころもち」の挨拶の前に、いつもは滅多にやらないような駄々をこねてみたり、


帰り道に、Dくんの棒を奪おうとしていたり。



Dくんとの集合写真の時には、入ろうとしなかった。


これが終わったらDとの時間が終わってしまう、と分かっているから時間稼ぎをするような行動だ。


少しでも長くDくんとのこまめの時間を過ごしたい。自分が受け入れたらDくんとの時間が終わってしまう・・・。そんな想いが感じられた。


Sくんは、Dくんの卒こまめを頭では分かってはいるものの、受け止めきれていないのだ。


これだけ大事で、大好きな仲間に出会えたのなら嬉しい。


これからゆっくり時間をかけてSくんなりの理解をしていくのだろう。






今日は例によってハイテンションなSくんが、いつもは引っ張り出してこないベンチを出してきたので笑


片付けが大変なことに💦





そこで現れた救世主は、やっぱりDくんだ。


「えっさー!えっさー!」


みんなで声をかけながら片付けが始まった。


小さな仲間たちがどんどん加わっていく。



大人2人で持ってもなかなかに重たいこのベンチを、子どもたちだけで運ぶのはかなり大変そうだ。


それでも、誰も諦めることはなかった。何より、Dくんが全く諦める気がないように見えた。



何度も休みながら、その都度「よし、いくよー、いっせーのーで!」とみんなの士気を高め続けたDくん。




そして、小さい子たちも加わっていた。


直接ベンチに手をかけなくても、もうこの目は一緒にやっているも同然だ。

外でみていた3人の2歳の子たちも、間違いなく参加していた。


近くで見ながら、一緒に移動していたのだ。




1歳児の子が5人もいて、11人と大所帯だったにも関わらず、


11人全員が心一つにして片付けをしている姿に涙が出てしまった。




最後までやり切り、「しゃー!」と喜ぶDくんの顔は


「ベンチを運び終えた」だけでは表せない顔だった。


悔いなく、こまめをやり切ったんだね!


そう伝わってきたよ。








活動後に行われたDくんのミニ卒こまめ式。


懐かしの仲間も今日の参加者以外の仲間もたくさん集まってくれた、あたたかい式だった。



Dくんへは、直前に「名前呼ぶからね。」と伝えただけだったが、


いつもの大きな返事をして、一礼して証書を受け取り、こまめの感想を堂々と発表して・・・


全く練習していないけれど、Dくんは立派にやってのけたのだった。


とにかく輝いていた。


誰がどう見ても、立派な卒業だ。





自分で決めた「卒こまめ」という選択に、責任をもって最後までやり切った姿勢を


みんなに見せてくれたDくん。


こまめに大きな大きなお土産を置いていってくれたね。


みんなで受け継いでいくよ。



自分で決めた道へ、大きく羽ばたけDくん!


卒こまめ、おめでとう✨









 
 
 

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